第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



「まあ、話すと長くなるのだが……」



 続きの言葉を待っていると、ずっと下を向いていたカイが、いきなりばっと頭を上げた。

 そして、「ん?」と不思議そうに首を傾げる。



「そのティーポット、いつの間に取り替えたんだ?」


「取り替えた?」



 イルヴィスはカイに言われ、不審そうに眉を寄せる。



「青かった茶が紫になっているではないか」


「……?そうか?元からこの色だった気がするが」



 カイはそう言われて自信をなくしたのか、「そうか……」と呟く。


 それを見ていたアリシアは、堪えきれずクスクスと笑った。



「ふふ。カイ殿下、よくお気づきになりましたね」


「ということは、やはり取り替えられていたのか?……だが、いつの間に」


「取り替えてはいません。でも色が青から紫へ変わったのは本当です」


「??」



 アリシアはガラスのティーカップに紫色のハーブティーを注ぐ。

 それから、ある液体の入った小瓶をカイに渡した。



「これを少しだけ入れてみてください」


「これは?」



 カイは不思議そうに液体を見つめてから、言われた通りに数滴ティーカップへ落とす。そして驚いたように「わっ」と声をあげた。

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