第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



「色が変わった!」



 ティーカップの中のハーブティーの色が、紫色からピンク色へと変化していく。

 イルヴィスも驚いたようにカップを凝視している。



「この液体はいったい何なんだ……というかこの茶は飲めるのかっ?」


「ふふ、もちろん飲めますよ。液体も別に怪しいものではなく、ただのレモン果汁です」


「レモン?言われてみれば確かにそんな匂いが……」



 カイは鼻を近づけて、ようやく納得したようにうなずいた。

 アリシアは残りの二つのカップにもハーブティーを注ぎながら説明する。



「これはマロウブルーというハーブのお茶です。淹れた直後は鮮やかな青ですが、時間が経つと紫になり、レモンを加えればこのようにピンク色になります」


「不思議だ……面白い」


「でしょう?」



 微笑んだアリシアは、ふっと目を伏せる。



「昨日、カイ殿下はお出しした工芸茶を喜んでくださいましたよね。それで、やっぱり目で楽しめるものは良いなって再認識して、今日はこのお茶を持ってきたんです。……まあ、あの時はまさか隣国の王子だなどと思わず軽々しい態度をとってしまいましたが」

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