第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II



 申し訳ありませんでした、と頭を下げると、カイは慌てたように言った。


「いやいや、やめてくれ!命の恩人に頭を下げられるなどあってはならない!」


 それから、ピンク色になったマロウブルーティーをすする。



「うん、レモンの風味が爽やかだ。イルもアリシア殿も立っていないで座れ!とりあえず落ち着いて茶を飲もうではないか」


「何故お前が仕切る。そして落ち着くべきはそっちの方だ、カイ」



 イルヴィスはやれやれと息を吐きながらソファーに腰を下ろす。アリシアもその隣に座った。



「そういえば、カイ殿下はどうしてグランリアへ?」



 素朴な疑問を口にする。まさかただ遊びに来ただけということはあるまい。

 カイは優雅に笑みを浮かべると、その質問には答えずに言った。



「アリシア殿。貴女は俺の国の者ではないのだから、そんな堅苦しい呼び方はやめて欲しい。“カイ”ともっと楽な呼び方で結構だ」


「え、ですが……」


「俺がそうして欲しいんだ」


「なら、カイ様」



 他国の王子だからこそ丁寧に接するべきなのではと思ったが、本人の望みならば仕方がない。



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