第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「殿下はいつも働き詰めですもの。時々リフレッシュしないと」
「そうだな!忙しくて疲れているであろうイルには王室所有のビーチでゆっくりしてもらえば良い。その間俺が責任を持ってアリシア殿に国を案内するとしよう」
二人きりで、ゆっくりと。そう続けるカイをイルヴィスは睨みつける。
「そんな気遣いなら不要だ。私としてはお前がアリシアに近づかないでいてくれる方がよっぽど休まる」
「はな、まあそんな顔をするな。あまり独占欲の強い男は嫌われるぞ」
「うるさい」
「まあ、俺はアリシア殿がお前に愛想を尽かして離れてくれれば願ったり叶ったりだがな!」
「……腕を出せ、次は折ってやる」
そんな二人の様子を、仲が良いなあと眺めつつ、アリシアはピンク色になったマロウブルーティーを飲む。
幼馴染み同士の交流を邪魔するのはやはり気が引ける。
アリシアは二人のティーカップの中身が空になったタイミングで、それらを持ってきたときのトレイにまとめて、ゆっくり立ち上がった。
「殿下、カイ様。わたしはこれで失礼しますね。イルリーマ王国行きの件、お父様に許可をもらわなければいけませんし」