第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
4.海
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ルリーマ王国への出発が叶ったのは、およそ一週間後のことだった。
グランリアの王都からルリーマの王都までは馬車で約四日。
初めて行く他国に、出発前夜は眠れなくなるほどワクワクしていたアリシアだったが、出発して一日も経つと、国境を越える前なのに関わらず知らない風景が広がっていた。無論アリシアは既に大盛り上がりだった。
国内に広大な小麦畑や果樹園があることは、知識として知ってはいたが、実物を目にするのは初めてだったのだ。
アリシアが「あれは何かしら?」と問うたびに、同行しているノアが丁寧に説明をしてくれた。四日ある移動時間は、酔うために本も読めないし、暇で仕方ないのではないかと心配していたが、ノアのお陰もありそう退屈ではなかった。
それに、毎晩宿で休むときには、前の馬車に乗っているイルヴィスやカイと一緒に食事をできたりもして、なかなかに楽しい時間が送れた。
そして昨夜。とうとう国境を越えた。
「お嬢様、よく眠れましたか?」
宿を出て馬車に乗り込んだあと、しばらくぼんやり外を見ていたアリシアに、ノアが問う。
「ええ。何だかんだ疲れてたからぐっすり」
「それは何よりでございます」
ルリーマ王国への出発が叶ったのは、およそ一週間後のことだった。
グランリアの王都からルリーマの王都までは馬車で約四日。
初めて行く他国に、出発前夜は眠れなくなるほどワクワクしていたアリシアだったが、出発して一日も経つと、国境を越える前なのに関わらず知らない風景が広がっていた。無論アリシアは既に大盛り上がりだった。
国内に広大な小麦畑や果樹園があることは、知識として知ってはいたが、実物を目にするのは初めてだったのだ。
アリシアが「あれは何かしら?」と問うたびに、同行しているノアが丁寧に説明をしてくれた。四日ある移動時間は、酔うために本も読めないし、暇で仕方ないのではないかと心配していたが、ノアのお陰もありそう退屈ではなかった。
それに、毎晩宿で休むときには、前の馬車に乗っているイルヴィスやカイと一緒に食事をできたりもして、なかなかに楽しい時間が送れた。
そして昨夜。とうとう国境を越えた。
「お嬢様、よく眠れましたか?」
宿を出て馬車に乗り込んだあと、しばらくぼんやり外を見ていたアリシアに、ノアが問う。
「ええ。何だかんだ疲れてたからぐっすり」
「それは何よりでございます」