第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
とはいえ、まだ少し眠い。
アリシアは手を当てて一つあくびをしてから、ふと思い出して言った。
「そういえばごめんなさいね、ノア」
「……?何がですか?」
「本当なら明後日から休みだったでしょう?」
「ええ。ですが休みはこの旅から帰った後にずらしましたし……」
「だけどそのせいでミハイルさんと休みが合わなくなったでしょ?デートの予定、かなり先延ばしになっちゃったんじゃない?」
アリシアの言葉に、ノアは顔を強ばらせた。その頬はみるみる赤く染まっていく。
「どっ、どうしてそれを知っているんです?」
「ノア、この間手帳を落としたでしょ?たまたま予定の書かれたページが見えたのよ」
休みに入って二日目の予定に、ミハイルの名前が書き込まれていたのだが、それが二重線で消され、今回の旅に書き換えられていた。
もしやと思い、ミハイルに「休みはあるのか」と探りを入れたところ、案の定その日が休みだと言っていた。その上予定がなくなったからゆっくり休むつもりだとも。これはもう決まりだと思ったわけだ。
あの二人はもとからお互い意識しているのではないかと勘ぐっていたが、最近さらに仲良くなったように見える。