第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II

6.夕食




 昔から交流があり気心の知れた男女三人組。

 そのうち二人は兄妹で、妹の方はもう一人の男に恋をしている。


 その関係性だけで色々なストーリーが展開されそうな予感があるし、そのような設定の少女漫画なら前世でいくらか読んだ。

 そしてそう考えると、明らかに自分はヒロインのライバル的立ち位置であろう。


 アリシアは、イルヴィスが涙を流すディアナを追いかけて行ったのを見てから、ぼんやりとそんなことを考えていた。



「アリシア殿、あまり口に合わないだろうか」



 カイが表情の暗いアリシアに心配そうな声で言う。

 目の前に広がる、見た目も美しい海鮮料理のフルコース。どれも味は一級品なのだが、アリシアはあまり食事に集中できなかった。



「いえ、とても美味しいです」



 口ではそう答えながら、集中できない原因に目をやる。

 そこには、すっかり泣きやんで、イルヴィスの隣で幸せそうな笑顔を浮かべるディアナがいた。



「こうしてイル様と一緒に食事をしていると、まるで昔に戻ったようで嬉しいですわ」


「そうか。楽しんでいるようで良かった」



 ディアナを追いかけたイルヴィスは、約束していた夕食にディアナも同席するように誘ったらしい。


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