第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「ノア、何か拭くものを。何枚か欲しいかも」
アリシアは部屋の奥で荷物の整理をするノアに言う。
ノアにも別に部屋は用意されているのだが、何かあってはいけないとアリシアと一緒の部屋で寝るようにしてくれている。
本気で心配してくれているので、友達とお泊まり会をしているような気分で楽しいと思っているのは内緒だ。
「わっ、またですか……わたくしが片付けておきますからお嬢様は部屋の中に」
「ありがとう。でもわたしがやるわ。少し行きたいところがあるからさっさと片付けたいの」
「行きたいところ、でございますか?」
怪訝そうにするノアに、アリシアは意味ありげな笑みを浮かべる。
「ちょっと会ってみたい人がいて」
「会ってみたい人?誰です?わたくしも一緒に……」
「大丈夫よ。わたしの予想では悪い人じゃないの」
「予想って……」
「明日は朝からレミリア姉様のところへお邪魔する予定でしょ?ノアはその準備をしておいて」
「はい」
嫌がらせがエスカレートしていけば早めに姉の家に行こうという話をしていたが、そう大きな害がないということもあり、結局スケジュール通りだ。