第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


 アリシアと違い、前世でこの漫画を覚えるほどに読んでいた彼女は、この世界を漫画のストーリー通りに進めるこのにこだわっていた。

 今でこそ和解し良き友人であるが、そのこだわりのせいで邪魔なアリシアを排除しようとするなど、一時対立したこともある。



「もう、そんなこと言ったらあたしの中の悪役令嬢のイメージもかなり前からガッタガタに崩れてますからね!」



 イメージが崩れると言われたニーナは、心外だとばかりに口を尖らせ言い返してきた。



「そ、そう?」


「そうですよ!何ですか自由奔放で毎日が楽しそうな心優しい『アリシア様』って!……そんな貴女が大好きですよっ!」


「えっと……ありがとう……?」



 責められているのかと思ったら褒められていた。これがツンデレというやつなのだろうか。


 ニーナは「冗談はこのくらいにして」と一つ咳払いする。



「えっと、お悩みは『いきなり婚約者のイルヴィス殿下にファーストキスを奪われたけど、もしかしたら殿下はわたしのことを女性として愛しているのかしら?』でしたね」


「……そんな言い方はしていないのだけど……まあ、概ねそんな感じかしら……」



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