第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
アリシアが「ふふ」と意味深に笑うと、彼女の顔からさらに血の気が引く。
ゆっくり後ずさりしようとするので、アリシアはまた一歩彼女に近づいた。
「と、とにかく!アタシは何にも知りませんよ……」
「へえ」
目を細め「何もかも見通している」というような表情で頷いてから、アリシアは耐えきれなくなって吹き出した。
「ふふふふ、ああ可笑しい。ごめんなさい、怯えさせるつもりはなかったの。ただ純粋に貴女と話したいと思っていたのよ、本当に」
笑った時に出てきた涙を指で軽く拭い、表情を和らげる。
ポカンとする相手を見ながら、アリシアは髪をかきあげた。
「改めましてこんにちは。グランリア王国のリアンノーズ伯爵の娘、アリシアです。貴女はこの城で働くお茶係のカーラ・ブラントで合っているのね?」
「えっ、は、はい」
「なら、ジル・ブラントのことはご存知よね?」
「ジル・ブラントならアタシの母ですけど……」
戸惑いつつ答えるお茶係カーラ。
アリシアはその答えを聞いて、彼女の両手をぎゅっと握り、身を乗り出した。
「わたし、貴女のお母様の大ファンなの!!」
「……は?ふぁん?」