第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
驚愕した様子で口をあんぐり開けたカーラは、その表情をみるみる明るくした。
「母さんの自伝が他国でも読まれてるんですね!!」
頬を紅潮させ喜ぶ彼女からは、かつてお茶係として働いていた母を心から尊敬していることが伝わってくる。
それが何だか微笑ましくて、アリシアの口からも自然と笑みがこぼれた。
「あの本には、美味しい紅茶の選び方だったり、それぞれのお茶に合うお菓子の種類のような、お茶係の経験を生かした知識もたくさん載っていて、すごく参考になるわ」
「でしょうでしょう!得た知識を独り占めせず、本に書くことで少しでも広めたいというのは母のこだわりでしたからっ!」
「本を読んだだけでも、ジルさんの素敵な人柄は伝わってきたけれど、娘である貴女の目から見ても素敵な人なのね」
「当たり前です!アタシは母さんに憧れてお茶係になろうと思ったんですよ!」
美味しいお茶を淹れて、飲んだ人が幸せな表情をするのが嬉しい。そう語る母親に感銘を受け、同じ仕事を目指すようになったそうだ。
そう力強く語っていたカーラだが、突然何かに気がついたようにハッと口をつぐみ、俯いた。