第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「いったい何のつもりでそんなことをしたのかしら?」
「そ、それはディアナ王女が……」
「ディアナ王女?王女に言われてやったということかしら?」
アリシアは口に出されたディアナの名に眉をひそめながらも、やっぱりかと思う。
最初に苦い紅茶を出された時、彼女は何も知らないといった反応を示したため、彼女の指示ではないのだという気はしたものの、やはり疑いは晴れていなかった。
しかし、カーラはそれに大きく首をふった。
「違います!ディアナ王女はそんなこと指示なさいません!!」
「え?」
「アタシたち皆勝手にやったんです!」
「どういうこと?……ちょっと待って。“アタシたち皆”って言ったわね。水を撒かれたりドレスを切り裂かれたりしたのを、一人だけでやったとは思っていないけど……共犯は何人いるの?」
「さあ、正確な人数はアタシにも」
意味がわからない。
困惑するアリシアに、カーラはメガネを押し上げて言った。
「アタシたち──この城の使用人たちは皆、ディアナ王女のことが可愛くて仕方ないんです」
「……ん?」
「可愛い可愛いディアナ王女が、幼い頃からお宅の国の第一王子に恋慕していらっしゃることは皆知っています」