第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II


「カイ王子も余計なことをしてくれたものです。ディアナ王女が苦しんでらっしゃった時偶然この城におらず、どれだけ悲しんでいたのかという様子を知らなかったとはいえ」


「そう、だったの……」



 正直何と言って良いかわからない。

 アリシアにしてみればこの上なく迷惑な話だが、傷付いた王女のために何とかしたいという気持ちは理解できる。



「まあ、嫌がらせもワンピースを破られたたこと以外は金銭的害もないし、まして命を狙うような悪質なものもなかったしね……」


「ああ、その辺りは一応徹底していました。ドレスを切り裂いたメイドは、所持品を壊すのは後から損害賠償請求されるのが怖いからやめておけと怒られていました」


「なるほどね。あのワンピースは同じ型のがいくつかあるからまあいいわ……」



 直せばまだ着られるかもしれないし、持ってきた服の中では一番の安物だ。わざわざ弁償させるほどでもない。

 それにしても、とアリシアは苦笑する。



「ディアナ王女はこの城の人たちにずいぶんと愛されているのね」



 国の王女なのだから大切にされるのは当然かもしれないが、カーラに関しては先ほどからディアナのことを「可愛い可愛い」と連呼しており、何やら私的な感情が混ざっているようにも思える。


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