第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
「そりゃ当たり前ですよ!ディアナ王女は生きて元気に過ごしているだけでアタシたちは幸せです!この城の者たちはきっと皆そうです」
「貴女にそこまで言わせるのには、何か理由があるのかしら?」
「はい。……王女は、今でこそあれほど健やかに過ごされていますが、昔は本当にお身体が弱かったのです」
カーラによれば、ディアナは幼い頃は病気がちで、外で遊び回るようなことがあれば、後から決まって熱を出していたらしい。
身体が弱いくせに海へ行くのが好きで、家臣たちをすっかり困らせることもあったそうだ。
「実は、母親の王妃様もお身体は丈夫ではなくて、ディアナ王女が最後の子どもになると医者からも言われていたんです」
「王妃様も?」
「はい。一時は医者や産婆の慌てた様子から、赤子は無事に産まれてこられなかったのではという不穏な噂が流れたりもしました。だけどその数日後に、王女をしっかりと抱きかかえる王妃様の姿があって、それはもう誰もが喜んだものです」
まあそれは母や当時から働く使用人に聞いただけでアタシは幼くて覚えてないんですけど、とカーラは頭をかく。
「ですから国王様や王妃様も、ディアナ王女のことは本当に大切にされています」
「そういえばカイ様が、『国王はディアナ王女を他国へ嫁がせようとしない』って言っていたわね」