第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
アリシアはふとカイに聞いた話を思い出す。
自分の信頼する臣下の元へ降嫁させて、自分の目の届く範囲にいてもらおうと考えているのだろうか。
(娘が病弱だったなら、いくら今は健康でも親としてはやっぱり心配なのよね)
アリシアは病弱だった前世の自分と、心配するその親を思い出して目を伏せる。
前世の彼女はディアナのように、成長と共に身体が丈夫になったりすることはなく、10代の若さで人生に幕を閉じた。だが、きっと丈夫になって生きていたとしても両親はずっと心配していただろう。
そこまで聞くと、ディアナを愛し、大切にしている人たちの気持ちにもしっかり納得がいった。
「なるほど。確かにそんなディアナ王女の前にわたしが現れれば、王女は精神的に不安定になって、体調に響くようなことがあるかもしれないと心配にもなるわね」
「はい、あの……」
ディアナの魅力や生い立ちについて饒舌に語っていたカーラが、今度は口ごもり気まずそうに視線をさまよわせる。
「色々とすみませんでした。正直、可愛いディアナ王女の想い人を奪うなんて、かなりの悪女だと思ってたんです」
「あ、悪女……」