第一王子に、転生令嬢のハーブティーを II
昨日カーラにお詫びの印として飲ませてもらった紅茶は、今まで飲んできた紅茶の中で五本の指に入るほどの美味しさだった。
赤く透き通った美しい水色に、ふわっと鼻腔をくすぐる芳醇な香り。砂糖は入れていないのに、ほんのり甘みが感じられ、苦味はほとんどない。
あまりの美味しさに感動したアリシアは、無理を言って茶葉を少量買い取らせてもらっていた。
「あらあら、それは楽しみね。ならまずは台所に案内するわ」
予想していたよりも広いこの屋敷は、台所の広さもなかなかのもので、茶道具も上等なものが一式揃っていた。聞けば、アリシアに影響されお茶好きになったレミリアが買い揃えたらしい。
早速その道具と持ってきた茶葉を使って紅茶を抽出すると、昨日飲ませてもらったものと同じ芳醇な香りが漂ってきた。
その香りに目を細めうっとりした表情を浮かべるレミリアが思い出したように言う。
「あら良い香り。そういえば王家の主催するお茶会に行った時に一度だけ飲んだことがある気がするわ。あ、もう持って行っても良い?」
「わたしが持っていくので大丈夫ですよ」
「もう、アリシアちゃんは一応お客様なんだからね」