ふしだらな猫かぶりからの溺愛
藤紫
『RUIがgrisに興味もったかも』
神奈からのそんな身の毛もよだつ恐怖の連絡をもらったのは、雑誌取材を終えた日の夜。
だけど夜にそのメールが見られなくて、私が見たのは翌日だった。
ええっ!?まずいまずいーっ!
あぁ……、昨日事務所でashと大月さんが遭遇しちゃったのはほんとにまずかったんだ……。
しかもよりにもよってgrisの名前をRUIが覚えていたなんて。
普段ならそんなこと記憶の片隅にも残らないのに〜っ。
神奈の情報だと、ぐりって音の響きをなんとなく覚えてそうだけど、まだ私の名前の綴りを知ったり曲を聴いたりするほどにはバレてはいないらしい。
神奈曰く声を聞いたら一発でバレるらしいから、なるべく聞かれることがないように願って、このまま早く忘れてもらうしかない。
どうせ興味のないことはすぐに忘れるし。一週間もすれば大丈夫でしょ。
家のソファで音楽を聴きながら、大月さんに昨日のお礼とカフェに行ける日取りをメールで連絡していると物音がして一度手を止める。
「おはよ」
私のいつもと変わらない朝の光景。