ふしだらな猫かぶりからの溺愛
空いたグラスを指差しながら神奈が「それ」と伝えてくる。

「ああ。ここはね〜アイスのカフェラテがとっても美味しいの〜!だからここに来たらついついこればっかり頼んじゃうんだよね」

「へえ、店によってそんなに違うの?」

「違うよー!ぜんぜん違う!コーヒーもそれぞれのお店の特徴があってね、あっ!」

突然叫んだ私に神奈が不思議そうに首を傾げる。


「今度ね、大月さんがコーヒーが美味しいおすすめのお店に連れてってくれるんだよー!ふふっ、楽しみだなぁ」

「……は?マジで?」

「ん?うん!」

「二人で?」

「えっとねー、大月さんが菫さんもよければ一緒にって言ってたけど、菫さんが事務所的には問題ないから二人でどうぞって……」


あのときの会話を思い出すように顎に指を添えて少し考えながら話していると、神奈が急に焦りだした。


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