ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「grisさんここです」
「わぁー、どうしよう大月さん」
「どうしたんですか?」
「店の雰囲気からしてもうすごい好みです……」
都内で有名な公園から少し入った先にあるカフェ。
白の木材で出来た大きなテラス席にはもしゃもしゃと木の蔦が絡まっていて。
「これ、藤ですよね?」
「あ、よくご存知で。ここ春の藤棚に咲く花もとても人気なんですよ」
「はわぁ〜、もう最高ですね……」
よだれが出そうなくらい開いた口が塞がらない。
大月さんにカフェに誘われてから1ヵ月後。夏の暑さもなくなり秋の一番過ごしやすいこの季節に、ようやく来ることができた。
連れてきてもらったカフェはコーヒーが美味しいらしいけど、まず店の雰囲気からして私の好みですでにテンションもかなり上がっていた。