ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「ここはカフェの横に焙煎所もあって、そこで豆も買って帰れるんですよ」


そう言って奥の方を軽く指差しながら説明してくれる大月さんは、30代前半くらいで短めの黒髪が爽やかな雰囲気の男性だ。

仕事のときとは違い薄手のニットを一枚でさらっと着こなす大月さんを見つめて、私の周りにはいないタイプだなぁ。なんて考えていた。


私の周りにいる男性は柄のTシャツやパーカー、スウェットなどのゆるい服か綺麗な細身のシャツを着ていたりで、ニットの似合う男性はいない。

爽やかな大人の男の人だなぁ、大月さん。



「え!こないだの夏フェス行ってたんですか!?いいなぁ〜」

「仕事と趣味を兼ねて行ってきましたよー、grisさんもやっぱりお好きなんですか?」

「はい!高校生のころから親に連れて行ってもらったりでよく行ってましたー!今年は仕事で行けなかったんですよ……なので羨ましいですー」

「そうなんですか!今年のサブステージとDJブースはかなり熱かったですよ、選曲もよくて」

「えぇぇ〜っ、それ絶対楽しいやつ〜ほんとに羨ましい!」

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