ふしだらな猫かぶりからの溺愛
RUIの耳にだけはなんとか入らないことを祈るしかない。


「ところでgrisさんはなんで変装と顔出しNGなんですか?」


さっきまでの柔らかい表情のなかに微かに覗くライターとしての顔。

仕事のできる男の人の顔に変わった。


「ふふ、秘密ですよ〜」

「……ああー!すみません、ついクセで取材っぽい雰囲気だしてました!」

やっぱり無意識らしく、そんな大月さんがお茶目で思わず笑ってしまう。


「……っ、あ、あのgrisさんっ」

「え?」


大月さんに名前を呼ばれて顔を上げたタイミングで、私のスマホが鳴りだした。

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