ふしだらな猫かぶりからの溺愛
橙色
「仁那〜」
身体に回った腕と、頭上からする甘えた声。
それに反応して身体がびくっと揺れた。
目の前にいる大月さんが声も出ないくらい驚いているのか、口を少し開けて目を大きく見開き固まっている。
……まずい。
そんな周りの反応など全く気にせずに、私の背後に立つ彼は私の頭にすり、っと自分の頬を寄せている。
「え……、る、RUI……さ、ん……?」
大月さんに代わってなんとか声を出したのは、やっぱり目を点にして私たちを凝視している菫さんだった。