ふしだらな猫かぶりからの溺愛
瑠衣が不満そうに「むっ」と反応するとスッと私の首筋を撫でた。

くすぐったさに私が肩をすくめると少し満足したのか大人しく手を握ってきた。


「もう〜、瑠衣!そんなことしてる場合じゃ……」

「あー!!るーくんいたいた!!」


私の声に被って大きく瑠衣を呼ぶ声に、さっきまでの私なら焦っていただろうけど今となってはむしろ救いの声に聞こえる。


「RUIくんそろそろ時間だから会場に移動しねえと……って、何してんだ?」

「ほんとだー!るーくんがなんかして……え!?女の人と手ぇ繋いでるっ!!」


……騒がしすぎる。
助けでも何でもないかもしれない。

モモタと万里の大きな声に周りがさらにざわつき、もう注目度は最高潮だ。音楽関係者がほとんどだろうこのホテルの廊下で多くの人が私たちを見ていた。



「おい、RUIがここでそんなことするわけ……あ」

遅れて聞こえた神奈の声が状況を理解したように不自然に止まり、ようやく真の助けが来たと安堵する。

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