ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「わっ!すーごーいー!」
「高いね」
冬は日が暮れるのが早くて気がつけば空は濃藍に染まっていた。
その下に広がる無数の光。
日本一高い電波塔の展望台から見下ろす街並みはたくさんの光を放っている。
あのひとつひとつ、全てに人がいるんだと思うとなんだか不思議な気分になる。
こんなにたくさんの人の中から瑠衣を選んだ私。
私を選んでくれた瑠衣。
隣に立つ瑠衣を見上げると、
真っ直ぐ通った鼻筋と形の良い口元、細い顎までがとても綺麗なラインで美しい。
そんな瑠衣が楽しそうに歌を口ずさんでいる。
「ふふっ」
思わず声が漏れてしまった私を、瑠衣が不思議そうに「ん?なに〜?」と見下ろしくる。