ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「仁那〜」

「ん?」

振り向くと、ガラス窓の手すりに背を向け体重を預けた体勢で首を傾げて甘く名前を呼ぶ瑠衣。


「続きは?」

「続き?」

「『あのね』の言葉の続きー」

少し私を覗き込むように上目遣いをするその顔は、さっきの女の人たちの言葉なんてまるで聞いていなかったのか、真っ直ぐにただ私だけを見ている。


「あぁ!あのねー、瑠衣ってほんとに7度とか8度の跳躍ブレずに綺麗に出すよねぇって」


とっても綺麗!と再び笑顔で褒めると、瑠衣が少しキョトンとした間の抜けた顔をしてそれからとても嬉しそうに笑い返してくれた。


あ……、これはさっきの女の人たちに同意だなぁ。
その表情はずるい。

反則なほど綺麗な表情の瑠衣に思わず見惚れていると、気づいたときにはすでに私の腰に瑠衣の両手がするっと回されて指を組んで囲まれていた。

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