ふしだらな猫かぶりからの溺愛
顔のすぐ横にある瑠衣のふわふわの柔らかい髪に手を添えて、そっと撫でる。可愛い。

ああ、そういう我慢だったのか。
人前でも私に触りたいと思ってくれていたんだ。


「うん……そっかぁ、嬉しい」


でも、

「みんな私じゃなくて瑠衣を見てるんだよ?取らないでね、は私のセリフだよー」

少しふてくされた言い方になったのは許してほしい。

だって、さっきの女の人たちだけじゃない。それ以前もたくさんの人たちがみんな瑠衣を見ていたんだから。


「んー、仁那は結構鈍いよねぇ」

「え〜!私鈍いかなぁ?」

「うん、鈍い。ここに来るまでもかなりの人数の男が仁那を振り返って見てたし、それに……」

「それに?」

「学校の校門のところからでも見えるんだね〜。教室の窓」


瑠衣が頭を上げると私の顔を見ながらにっこりと微笑んでみせた。
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