ふしだらな猫かぶりからの溺愛
俺もギター持ってくればよかったなぁ。

無意識にその曲に合わせて鼻歌で口ずさんでいると、

突然近くで声が聞こえた。


「わぁー」


声のするほうを向くと、小学生か?女の子がこっちを見ていた。

「なに〜?」

「お兄さん……きれい」

容姿を褒められることには慣れていたし、とくになにも思わないから、適当な相槌をうった。

「どうもー」

なのにその子は嬉々とした表情で、

「すごいね!どうやってるのー?低い音から高い音にどうやったらそんなにきれいに出せるの!?」

まさか今の鼻歌のことを言われるとは夢にも思わなかった。

目をキラキラと輝かせて音楽のことを聞いてくるその子は、まるで俺の見た目には興味はなさそうだった。


「……練習するしかないよ〜、音を正確に出せるように自分の声をよく聞いて」

って、俺は子ども相手になに喋ってるんだろー。

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