ふしだらな猫かぶりからの溺愛
その容姿は、女の人だけではなく、きっと大抵の人がこの人の願いやわがままなら何でも叶えてくれそうな。

大勢の人を惹きつけて、魅了する。

目が離せなくなるような、そんな雰囲気があった。


……けど。


「え、あげませんよ?」


私のアイスコーヒーを譲る気はない。


「え〜、なんでわかったの?」

「すごいこのアイスコーヒー見てるから」

「俺のかと思ったら違ったからそれ欲しいなぁって」

「ふふっ、素直。でも嫌ですー、お兄さんのが来るまで待っててください」

「なにそれ、可愛い〜」

「えぇ?」


猫目のお兄さんの突飛な発言に困って変な声が出た。

そんな私たちをカウンターの中にいた男性店員が、驚いたように目をまん丸にして見てくる。

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