ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「おいおいおい、マジかよ。RUIに抵抗する子なんて初めてみたぞ。……おまけにRUIが初対面でそんな態度とるとか、どうなってんだよ」


どうなってるのかと言われても……。

と言うより、この人が。



「え?お兄さんがるーくん?」

「んー、なあに〜?」


(くだん)のるーくんらしい。


「へえ、モモタのバンドの人なんだ!」

「きみはモモタは知ってるけどRUIは知らねえのか?」

「あ、はい。モモタもさっき知り合ったばっかりだし……ていうか、RUIさんもこれから出るんですよね?」

「まあね〜」

「行かなくていいんですか?さっきモモタが急いで入って行きましたけど」

「俺はこれ飲んでからじゃないとムリ〜」


そう言って、カウンターの男性が出してくれたアイスコーヒーを美味しそうに飲んでいく。

なんか緩そうな人だなぁ。
これでバンドのボーカル?


カウンターに他のお客さんが近づくのが見えて、邪魔にならないように避けようとした私の手を横から掬われる。

――え?


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