ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「……待って、まだダメ」

「むぅ」

「授賞式のとき……見てたの?」

「まぁね〜、仁那の音楽をたくさんの人に聴いてもらえたお祝いだから俺もちゃんと見たかったし」

そう言って八重歯がチラリと覗く眩しい笑顔で、私の頬に手を添えて親指でスッと赤くなっているであろう肌を撫でてくれる。


嬉しい……、瑠衣がこんなに喜んでくれるなんて……。

私の心も顔と同じようにあたたかい熱が広がっていく。


「瑠衣……ありがとう嬉しい」

「うん〜、俺も負けないようにまた曲作りがんばろ〜」

「あのね、私自分の音楽より瑠衣の応援をするよ」


真っ直ぐに瑠衣の目を見て言うと、猫のようなアーモンド型の目を少し見開いて驚いた表情になった。

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