ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「こっち〜」


私の手を引くRUIさんに驚いて声が出ない私とは反対に、後ろのカウンターでは店員さんの「え!?おい、RUIっ!?」戸惑う声が聞こえる。


RUIさんの髪の先が楽しそうにふわふわと揺れている。

大きめの黒のシャツはリンゴの絵が書いてあって、私も知ってるブランドのものかも。
下は黒の細身なパンツでくるぶし丈で細い足首が覗く。

顔がよくて髪の跳ねが可愛くて、背が高くてオシャレ。


完璧なんだろうけど……完璧すぎて、なんか違う世界の人のように感じる。

今、目の前にいて私の手を引いていることも全て嘘なんじゃないか、って思う。


そんな私の思いがつい、動かしてしまった。


握られている右手の親指が、包まれているRUIさんの左手の甲を……スッと撫でてしまった。

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