ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「あのね、一つ伝えたいことがあるんだけどね」

「ん〜?」

「ちょっとみんなの前だとあれだから、一緒に外にお散歩に行こー」

「わかった」


突然瑠衣を連れ出した私をみんな不思議そうに見送ってくれた。



事務所を出て裏路地に回ると、ちょうど近くの街路樹の桜が満開で見上げる空一面が桜色に広がっていた。

わ……、すごい綺麗。
事務所の裏ってこんなにたくさんの桜があったんだぁ。

「すごいねぇ!桜がこんなに!」

「だね、仁那とお花見の散歩〜」

上機嫌の瑠衣と手を繋ぎながら、少し緊張している自分に気づく。

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