ふしだらな猫かぶりからの溺愛
桜の花びらが風に乗って何枚か舞い散るなか、瑠衣は目を何度か(またた)いてからとろけるような甘い笑顔で八重歯を覗かせた。



「仁那ありがとう、大好き愛してる」



そう言って、人通りはない事務所の近くの路地で私の唇にキスを落とした。


甘く幸せな気持ちの込められたキス。



そして、この時の気持ちを瑠衣が"真紅"以来、4年ぶりの作詞で作った曲"桜"が収録されたアルバムが大ヒットして、この曲もシングルカットされ、ashの代表曲としてその名を連ねることとなった。


――ふしだらだった猫みたいな男の真っ直ぐな愛と音楽で、私は今日も幸せな日々を送る。







end


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