ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「何って、キス」

「そうじゃなくてぇ……どうして急に、キス、とか」


キスと口にした途端にかぁぁっ、と顔に熱が集まる。
RUIさんとキスをしたという事実をようやく実感してきた。

恥ずかしさに、空いている左手で顔を隠す。



「えぇー、ムラッときたから?」

「なっ……」

「可愛い〜、何この子食べちゃいたい」


顔を隠す左手を引き剥がされて、RUIさんの整った顔が覗き込んで目を合わせる。

……もう、なんなの〜。
何この人、この色気どこから来てるのっ。


「もう〜!見ないで見ないで!」

「無理、可愛いすぎる」


RUIさんの腕から逃れようとジタバタする私の後ろから、男の人のちょっと焦った声がして動きを止めて振り返ると、

「RUI、こんなとこにいた!」

黒髪の短髪だけど前髪は目にかかるくらい長くて、すらっとした細身の男の人がRUIを見て目を見開いている。

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