ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「RUIが女の子襲ってる……まじで?」

「あ〜、神奈」


神奈と呼ばれたその人は、一瞬動きを止めて固まっていたけどRUIさんに呼ばれてすぐに我に帰るとRUIさんのギターケースを掴んだ。


「RUIくん、もう時間ほんとやばいからとりあえず来て!」

「え〜、でも」

「今はそんなこと言ってる場合じゃないからまた後で!きみもごめんね、RUI連れて行くから」

「あ、はい!どうぞどうぞ!」

「むっ」


そして有無を言わさずRUIさんを引きずって関係者専用の扉に入っていく。

あの人もモモタとRUIさんのバンドの人、だよね?


たしか19時から出るって言ってたような、と時間を確認するとあと30分ほどでもう出番なことに気づいて、RUIさんどれだけ直前までのんびり過ごしてるの……と驚く。

RUIさんとアイスコーヒーを巡り騒いでる間に、一つ、別のバンドが演奏していたのを見逃してしまった。

もう、せっかくの初めてのライブハウスなのにまだ一つも聞けてないよ。
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