ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「それにしても……瑠衣が仁那の声聞いて、わからないはずないだろ」


ゔぬ……。
それはまあ、そうなんだろうけど。

「でもあまり人の音楽聞かないし瑠衣の耳に入ることはないんじゃないかなー、と」

「そんな簡単にいくかな」

嫌なことを言う神奈に唇を尖らせる。


「ちなみに事務所行くときは変装もしてるよ！ほらこんな感じ」


ふざけて菫さんに撮られた"野暮ったい"ときの私の写真を見せる。

「え！これが仁那！？すごいな……誰だかわかんない」

「ほんとにっ？やったー！」

「でも……これすらも瑠衣には意味ない気がするけど」


またまた嫌なことを神奈に言われて苦虫を噛んだような顔になったと思う。


「そんな顔すんなよ、とりあえずお前のことがバレないように俺も協力するから」


神奈が頬杖をつくと呆れたように笑い、優しく私の頭を撫でた。

もう22歳の大人なんだけどなぁ。

神奈にとってはいつまでも妹のようなものなのかも。

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