ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「前に行ったっていう渋谷のライブハウスってこのあたりなの?」

「そうだよ、ここからすぐ。今日は藍も一緒だから嬉しいなぁー」

「前回のときも私を誘えばよかったのに。そしたら仁那パパもそんなに心配しなかっただろうし」

「えぇっ、前のときも誘ったってばー!」

「え?そうだっけ?」

「そうだよー、藍が彼氏とデートだからムリって言うから……」


テラスから眺める外の道路に、見たことある人が通っていった。

エクルベージュのくるくると揺れる髪。

背の高いその人は、今日もオシャレに柄のシャツとスキニーのデニムを着こなし少しダルそうに歩いていた。

あ……、RUIさんだ。


「仁那?どうかした?」

「あ、ううん……なんでも」


藍に呼ばれて視線を外し、もう一度RUIさんを目で追うと少し先にあるホテルに入って行った。

……綺麗な女の人と一緒に。

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