ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「話の前に自己紹介もしてないからさせてね。ashっていうバンドのギター担当でリーダーもしてます、神奈です」


神奈さんは丁寧に頭を軽く下げて挨拶をしてくれた。


「あ、仁那です。前にライブハウスに初めて行ってその時にモモタと知り合いになりました。……あと、RUIさんともちょっとだけ」

「うん、やっぱりきみが仁那ちゃんだよね。前に一度少しだけ会ったね?」

「そうですね、あの時少し会いましたね。でもなんで私のことを?名前はモモタに聞いたとか?」


確か、モモタと秦野さんには名前を伝えたと思うけど、RUIさんや神奈さんには何も言ってないはず。
不思議に思い首を傾げる。


「そう、モモタと秦野くんから。綺麗な灰色の瞳の女の子ってのですぐに君だってわかったんだ」

「でも、なんで神奈さんが私を探してたんですか?モモタもって聞きましたけど……え、私なにか失礼なことしましたかっ?」


もしかして初めてのライブハウスでなんか重大なルール違反とか、失礼な態度を知らず知らずのうちにしていたんじゃ……。

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