ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「わぁ……すごーい……」


一際大きなスタジオの重い扉の中には、何十人ものスタッフと数々の音響機材、そしていくつもの大型のカメラだった。




今日、この局である3時間生放送の音楽番組の収録スタジオに見学にきた私は、その規模の大きさと数々のアーティストに心を奪われていた。


あ!うそぉ〜、あのバンドの人のギターテクニック生で見られるなんて……っ!

わ〜、可愛い〜!なにあのダンス可愛いすぎる〜!アイドルの人たちってなんて可愛いんだろぉ、目の保養すぎる〜。


大興奮でスタジオの端っこから素晴らしいパフォーマンスを楽しんでいると、今日一番の歓声があがる。

「あ、ash出ましたね」

隣の菫さんの声にこくりと頷きながら、ステージの中央に視線を向ける。


そこには緊張感のかけらもない、ゆったりとした雰囲気のRUIが錚々(そうそう)たる顔ぶれの中でも一際美しい顔立ちで色気を振りまいて立っていた。

いや、本人は色気を振りまいてるつもりはないんだろうけど。

そう見える。
たぶん、このスタジオにいる全ての人がそう思っているんじゃないだろうか。

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