ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「こんばんは、ashです」


いつも挨拶や司会の人と話すのはリーダーである神奈か、お調子者のモモタがほとんどで、RUIや万里が表立って話すことはない。

RUIの声が聞けるのは基本的には歌声だけで、少しでも素顔のRUIが知りたいと、みんなRUIの一挙手一投足に常に注目していた。


メディアへの露出もあまりないashはメンバーの素性も謎が多く、私ほどではないけど本名や私生活など多くを公表していない。

だから、ほんとはRUIは無口や無愛想ではないことも世間では知られてはいない。

……ただ、気分が乗らないと口数は減るけど。



「ashのみなさんはこの夏ハマっていることなどはありますか？」

司会の女性アナウンサーが何かプライベートなことを引き出せないかと、質問をする。


それに神奈が少し考えて、

「……かくれんぼ、とか」


そんなふざけた回答にアナウンサーの女性も神奈以外のメンバーもハテナを頭に浮かべていた。


だけど、だけど……っ。

私だけは一人、心臓が飛び出るくらい驚いて思わず声を上げそうになっていた。

< 68 / 254 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop