ふしだらな猫かぶりからの溺愛
「んー、別に好きじゃない」


その答えにさっきまで私の肩でまったりとしていたRUIさんが身体を起こし、私の表情を(うかが)うようにこちらを見た。

それが捨て猫みたいに不安そうな感じに見えて少し意外だった。

RUIさんは自分の容姿も人からの評価も、なにも気にしていなさそうなのに。

私の気持ちをそんなに気にするなんて。



「かっこいいとは思うけど、別にRUIさんの顔が特別タイプってわけじゃない」

「……」

「けど今日一日ずっと一緒にいて、RUIさんを見て思ったのは、RUIさんの音楽に対する姿勢とふだんのゆるいギャップはけっこう好きだなって……わぁ!」


最後まで言い終わる前にガバッと回されたRUIさんの腕と体重に、身体が支えきれずにソファ席に倒れ込んだ。

「仁那!?」

「ちょっ、るーくん!」

「おいっ、大丈夫か!?」


みんなの心配する声をよそに、RUIさんは真っ直ぐに私を見下ろしてくる。

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