俺様天使の助手になりまして

 心底びっくり。春川さんにお小遣いを貰っているのかな。

 蓋を開けると、プシュッていい音がしてふわぁっと煙の様なものが出た。微炭酸のジュースは爽やかなレモン味で、乾いた喉にしみる。

「んー、冷たくて美味しい」

 ごくごくと喉を鳴らしてると、急に、アクマ天使の目が鋭くなった。私の後ろを、睨むようにして見ている。

「どうしたの?」

「動くな」

「え?」と声を出す間もなく、素早く動いたアクマ天使の腕の中に入れられた。

 突然過ぎてわけがわかんないまま、ジュースを零さないようにするのが精一杯だ。

 アクマ天使のジーンズポケットから、ナビっちのくぐもった声が聞こえてくる。

「ミツケタヨ、キタヨ。ミツケタヨ、キタヨ」

 ピコピコ鳴る音も忙しなくて、切羽詰まってる感じだ。

 近くに玉があるんだ。それも、私の後ろに!

 こんなに急に? 悪? 善? ドキドキしながら息を詰める。

「おい、もういいぞ」

 アクマ天使が離れて、体がスッと軽くなった。

「捕まえたの?」

「ったく。もっと早く見つけろ。役にたたねぇナビだぜ」

 吐き捨てるように言って、チカチカ光る袋を開けている。

「何の玉だったの? また悪玉?」

 アクマ天使の手の中で、精玉がほわ~っと光って文字が出てきた。

「善だ。これは『義』。お前に向かって真っ直ぐに飛んで来たぞ」
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