俺様天使の助手になりまして

 一学期の成績は悪くなかった。【十】はひとつしかなかったものの、【九】悪くても【六】で、まあまあだった。

 順位も学年では真ん中より上。県でも有名な進学校で、自分でもよく頑張ったと思う。

 けど、アクマ天使はオール【十】らしい。学校に来たのは期末試験の後だったのに、信じられない。

 けれど実際悔しいくらいに頭がよくて、逆らいたくても何も言えない。

 夏休みが始まったばかりなのに、もう課題を終わらせていて、私が必死でやっている間は、いつも涼しい顔で本を読んでいる。

 どこの文字か分からないが、表紙がキラキラしているから、天界の本なのかもしれない。

 今も、足を組んで本を読んでいる。たまに首を傾げ、眉間にシワを寄せて眼鏡をくいっと上げる。

 膝の上に本を乗せて、ぺらっとページをめくる仕草が優雅で、悔しいくらいにカッコ良く見える。

 しかし四六時中私と一緒にいるくせに、いつ課題をやったんだろうか。うんざりするほどたくさんあるのに。これが、天使と人間の差なのか。

「むむむむぅ~」

「何を唸ってんだ。時間がなくなるぞ」

「あの。ええっと、その……教えてください?」

「あ? 分からねえのか。学校でも塾でも習ってんだろうが」
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