俺様天使の助手になりまして
笑顔を向けると、アクマ天使は一瞬びっくりしたような顔をした。すぐにいつもの無愛想面に戻ったけれど、じっと私を見ている。
「どうかしたの?」
「何でもねえよ。後は全部応用だ。やれ」
指先で二ページ分の範囲を指したあと、頬杖をついて、私の手元を見ている。
まさか、ずっと隣にいるつもりなの?
存在感というか、プレッシャーが半端じゃないんだけども。
「あのさ、これ全部やるまで見てんの? 本は読まなくていいの? 分かんなかったら、声掛けるからさ」
ほらほら向こうに行って。集中してやらせてよ。
「あーあの本なぁ、つまらねえからいい。それより今はお前だ。俺が教えたからには、きちんと理解してなきゃ困る。時間までにここ全部出来なきゃ、遊園地の話は無しだぞ。その分一日学習に当てるぞ」
「え……本気?」
返事の代わりに、メガネの奥がギラッと光る。
本気なんだ。時間までって、うわあっ、あと三十分もない!
「遊園地は〝でこ睫毛〟との約束なんだろ。果たしたきゃ、しっかりやれ」
「ちょっと、そんな変なアダ名つけるのやめてよね。あの子の名前は〝香奈〟。綺麗な子でしょ。友達の中では一番だと思うんだ」