俺様天使の助手になりまして
二人並んで歩いて行くその間には、微妙な距離がある。あれが帰りには縮まっているんだろうか。
女子高生の〝同居もの〟って、大流行している恋愛映画らしい。女子が萌えるシチュエーションが満載だということで、いち早く情報をゲットした少林寺ちゃんが興奮して話してくれた。
「ドキドキとキュン!がいっぱい詰まってるんだよ! 朱里も絶対観に行くべき!」
胸がキュンキュンするなんて、私も観たい。けれど……。
「おい。ぐずぐずすんな」
今は、こっちの方が大事だ。
「ごめんなさい。ね、上から順番に探そうよ。なんか、その方が効率いい気がするもん」
天井の方を指差すと、アクマ天使は眉間にしわを寄せた。
「いつも言ってんだろうが。仕切るのは俺。お前は助手。俺の言うことだけ聞いてろ」
そう言いつつも、上りエスカレータの方へスタスタ歩いて行く。
ほんと、素直じゃない。子供みたいだ。
護衛されている女神様も、扱い方に苦労してるんじゃないか。大変お気の毒だよ。同情しちゃう。
女神様の苦労を思いやりながらアクマ天使の背中を追っていると、背後からいろんな声が聞こえ始めた。
「きゃっ」
「イタッ」
「いってぇな。何だよ、おい」