俺様天使の助手になりまして
うーと唸る私の頭を優しく撫でてくれるのは、親友の香奈だ。
「何でもない」
言いたいけれど、言えない。本物天使と会って探し物の助手に任命されたなんて話をしたら、完全変人扱いじゃないか。それに、口止めをされている。
「あー、分かった。彼氏とケンカしたんでしょ」
「へ? 何言ってんの。香奈。私にそんな相手いないって、知ってるでしょ?」
「やだぁ朱里ったら、何言っちゃってんの。昨日だって仲良く帰ったじゃない。あぁ、そうしたら、ケンカはその後か。昨日の帰りに何があったの? ほらほら香奈姉さんに言ってみな」
ん?って、香奈は首を傾げる。
サラサラストレートヘアにナチュラルメイクで今日もばっちり可愛い。私が男なら放っておかない。まあ実際モテモテなんだけど。
「誰とも帰ってないよ。引く手あまたの香奈じゃないんだもん」
私は再び盛大なため息をついて、突っ伏した。
香奈、そのジョーク、全然面白くないよ。というか、からかわないでよ~。
「ああ、こりゃ重症だ。よしよし。ねぇ、陸人君、何やったの? 浮気? 彼モテるもんね」
「へ? リクトって、誰のこと? そんな人知らないよ」