俺様天使の助手になりまして
私はむっくりと顔を上げて、香奈の可愛い顔を見る。
さっさから何を言っているの?
「誰って。やだな、朱里こそ。何を言ってるの」
私の後ろ上辺りをちらっと見た香奈は、あちゃーって顔をした。その後すぐに、つんつんと指をさして〝ソコニイルヨ〟と、口パクで教えてくれる。
「そこって、誰がいるの」
振り向くと、見知らぬ男子がこっちに向かって歩いて来る。
結構背が高いのか、周りにある机が低く見える。メガネをかけていて、髪がサラサラで爽やか系だ。スポーツが得意で勉強も出来る感じの、女子にモテそうなイケメン君だ。
「おはよっ。陸人君」
「おはよう」
「陸人君、昨日、朱里に何かしたでしょ」
「……いや、アカリが勝手にむくれてるだけだ」
さらりと言って、メガネ君は私を見る。
えーと、あなたは誰ですか?
メガネ君と香奈はずいぶん親しそうだけれど。それに私も知っている前提なんだけど、どういうことだろう。
「あー、なんだよ。まったく、仕方ねぇな」