俺様天使の助手になりまして
「さて、そろそろいいかな?」
それぞれが飲み物を飲んで一息ついたのを見て、アルバルクがチカチカ光る袋から玉を取り出した。
テーブルの上に置いて手を翳すと、中心に文字が浮かび上がってくる。
「何て字なの?」
「日本語で言えば『仁』だな。〝人を慈しむ心〟だ。あの歌手は、慈悲深かったんだろ」
アクマ天使がそう説明すると、アルバルクも頷く。
「この精玉と、あの歌手本人の資質が合い、歌えばとんでもない癒しの波動を生み出すんだ。それで、僕らは苦労したワケさ。いいか、リクトール。驚くなよ? なんと、今日で五回目の挑戦だぞ」
「あ? 五回目? アレは、そんなに手強い奴だったのか」
アクマ天使が呆れたように言い、腕を組んで首を傾げている。
顔は見えないけれど、眉間にシワを寄せてるんだろう。そんな様子を受けて、アルバルクは真面目な顔で大きく頷いた。
「初めて見たのは我が町の商店街さ。彼女はストリートライブをしていたんだが、そのとき既に玉と同化していた。で、このサナダが全然使い物にならなかったワケだよ」