俺様天使の助手になりまして

「なら、早く続きを話せ」

「それから、あの歌手を追う毎日が始まったんだ」

 やっとお話が再開されると、アクマ天使の手が目の前から消えた。

 アルバルクは真面目な顔に戻っているけれど、サナダはショックを受けたままのようで、下を向いてしょんぼりしている。

「二度目に見つけた時は、大きな祭りの会場だった。で、僕らもバカじゃない。対策を練ってたんだ。歌声が聴こえなければいいだろうって、サナダは耳栓をつけて挑んだ。それでも、泣いてしまってね、二回目は攻撃はできたものの、勢いが鈍って失敗した」

「耳栓しても、魂を揺さぶるような波動が来るんです。それで、対象が涙でかすんでしまいまして、もたもたしているうちに、情けなくも警備員に捕まりました」

「もちろん、僕はすぐに警備員の腕から奪って逃げたさ。あの時は、捕まえていたサナダが突然消えたから、彼らはかなり慌てていたなあ。『き、消えたぞ!? どうなってるんだ!』って、青ざめた顔で右往左往していたな。あれは、なかなか可笑しかったよ」
< 156 / 264 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop