俺様天使の助手になりまして
みんな、どこに隠れたかな。
庭と言っても、半端なく広い。大きな体育館が三つくらい建てられそうなのだ。
羽音が向かって行った方角のうち、庭の左側部分から探し始める。
まるで公園のように整備された庭。白い石畳で高低差がつけられ、立体的に造られている。
階段があり、その向こうに小さな白い噴水があった。ぴちょぴちょと水を流しているのは、水瓶を支えるちびっこ天使の像……。
「可愛い~。って、あれ? うわあ、見っけた!」
水瓶を支えるふたつの像の向こうに、同じ様なポーズをしている天使がいる。噴水のへりに乗れば、ギリギリ手が届くか届かないかの高さだ。
「や~ん、なんでわかったの?」
可愛く言って逃げていくのは、女の子だ。
植え込みの方へパタパタ飛んで行くのを、走って追いかける。茂みの中に入られたら、追いかけづらい。けれど、ちびっこな上に女の子のせいか、飛ぶスピードは遅い。
これならイケる! とばかりに飛びかかった。
「捕まえた!」
先ずはひとり。
女の子の腰の辺りを両手で捕まえると、翼を動かすのを止めて大人しくなった。抱っこをすると、羽はふわふわで肌は柔らかく、体重は軽くてまるで人形みたいだ。
「あーあ、つかまっちゃった。おねえちゃん、はしるの、はやいね」